交通事故での同乗者の方の慰謝料
1 交通事故の同乗者の慰謝料額
交通事故の同乗者も運転手と同様に慰謝料の賠償を受けられます。
慰謝料の目安額も運転手と同様に、負傷内容、入通院期間、通院回数などを基に裁判基準に照らして算定されます。
運転手と同乗者といった違いで慰謝料額に差が生じることは基本的にはありません。
2 同乗者の慰謝料の賠償責任は誰が負うのか
同乗者の慰謝料などの賠償責任は、交通事故の相手方に加えて、乗車していた車両の運転手が負うこともあります。
以下では、同乗者の損害について、ケースごとに誰が賠償責任を負うのか見て行きたいと思います。
⑴ 交通事故の相手方と乗車車両の運転手の過失割合が10対0のケース
この場合は、交通事故の相手方のみが賠償責任を負い、乗車車両の運転手は同乗者に対する賠償責任を負いません。
⑵ 事故の相手方と運転手の過失割合が70対30のケース
この場合は、交通事故の相手方に加えて、乗車車両の運転手も同乗者に対して賠償責任を負います。
この場合、交通事故の相手方と乗車車両の運転手は「共同不法行為」として不真正連帯債務を負っています。
つまり、同乗者は、交通事故の相手方と乗車車両の運転手のどちらに対しても100%全額の賠償請求ができます。
ただし、片方から賠償を受けた場合は、もう片方から賠償を受けることはできません。
また、同乗者は交通事故の相手方と乗車車両の運転手の両方の自賠責保険から保険金を受け取れる場合があります。
ただ、同乗者の方と乗車車両の運転手の方が家族である場合など生計を同一とする関係がある場合、交通事故の相手方に対して請求できる金額は、同乗車両の運転手の過失分が差し引かれた金額となります。
これは、「被害者側の過失」といわれています。
同乗者が交通事故の相手方から100%の賠償を受けた場合、交通事故の相手方は自身が同乗者に支払った賠償金のうち、運転手の過失割合の30%にあたる支払いを同乗車両の運転手に求めることができます。
しかし、運転手と同乗者が生計を同じとしていることから、運転手の過失には同乗者も含まれると実務上考えられているため、同乗者が100%支払いを受けてから運転手に30%の支払いを求めるよりも、初めに同乗者へ支払いをする際に30%分差し引いた方が実用的です。
以上の理由から、このような取扱いが認められています。