子どもが交通事故を起こした場合の親の損害賠償責任
1 親の損害賠償責任
子どもが交通事故を起こしてしまった際の親の賠償責任については、以下に説明するとおり、単に親子関係にあるというだけで、全て親が責任を負うというわけではありません。
その一方で、親であることにより、賠償責任の範囲が拡大することもあります。
2 子が成人に達している場合
この場合は、親は、子の起こした交通事故について賠償責任を負いません。
子が成人に達した以上、親権・監護権といった、親の子に対する監督権限はないためです。
ただし、成人した子が精神上の障害により責任無能力者(賠償責任を負わない者)とされ、親が子の成年後見人となるなどして「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」とされた場合には、例外的に、親が賠償責任を負う場合があります。
3 子が事理弁識能力を欠く場合
民法712条は「未成年者は、~自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったとき」は、賠償責任を負わないとしています。
上記の「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能(行為の善悪を区別する知能))」を事理弁識能力といいます。
未成年者に事理弁識能力があるかについて、明確な基準はありませんが、12歳前後を境として、これより年齢が低い場合は事理弁識能力を欠くとされることが多いようです。
そして、子が事理弁識能力を欠くとされた場合、親が「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」として、子に代わり賠償責任を負うことになります。
4 子に事理弁識能力がある場合
子が事理弁識能力を有する場合、子が賠償義務を負うことになります。
しかし、子が不法行為を行った原因の一つに、親の子に対する監督が十分でなかった場合(例:普段から、未成年の子が無免許で車両を運転していたことを知りながら、親がこれを放置し、その後に交通事故が発生した場合)には、親が子の監督を怠ったことを理由に、子と共に賠償責任を負うことがあります。
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