不倫慰謝料の際に示談書を作るメリットについて
1 実務では示談書の作成は必須
不倫慰謝料等に関する示談が成立したら、実務上は必ずといっていいほど、示談書を作成します。
示談書には、不倫慰謝料の発生原因である不貞行為があったことを確認する旨や、慰謝料の金額、支払期限、支払方法、金銭の支払い以外の遵守事項、清算条項などを記載します。
示談書を作成する主なメリットとしては、次のものが挙げられます。
①当事者間で取り決めた内容を客観的に示せる
②約束とおり支払われず訴訟提起をする際の証拠として使用できる
③執行認諾文言付き公正証書で作成した場合強制執行が可能
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 当事者間で取り決めた内容を客観的に示せる
示談書を作成し、当事者間で合意した慰謝料の金額や支払期限、支払方法、今後の加害者の接触禁止、守秘義務などの条件を文字の形で残すことで、当事者間での認識の齟齬の発生を防ぐことができます。
また、法律上は口頭での約束でも示談は成立しますが、後日「そんなことは約束していない」という主張がなされた際、客観的な資料をもって約束の内容を証明することができません。
その結果、事実上支払いを受けられなくなってしまう可能性もあります。
書面にしておけば、このリスクを大きく減らすことができます。
3 約束とおり支払われず訴訟提起をする際の証拠として使用できる
相手が示談書に従った慰謝料の支払いをしなかった場合、訴訟を提起して支払いを求めざるを得ません。
示談書は訴訟において、当事者が合意した内容を証明するための証拠となります。
これにより、示談書がない場合に比べ、慰謝料の金額や支払期限などの証明がスムーズに進められ、勝訴判決を得られる可能性が高まります。