高次脳機能障害が疑われるときはどうすればよいか
1 はじめに
高次脳機能障害とは、事故による頭部への衝撃により、脳が損傷を受けたことが原因で、脳機能のな障害(認知機能の低下や、性格の変化など)が生じるものです。
交通事故による高次脳機能障害が後遺障害として認定されるには、次の3つの要素が必要とされています。
- ⑴ 交通外傷による脳の受傷を裏付ける画像検査の結果(画像データ)があること
- ⑵ 一定期間の意識障害が継続したこと
- ⑶ 被害者に、一定の異常な言動が生じていること
2 事故直後の対応について
上記の要素のうち、⑴を確認するため、脳のCT検査が必要となります。
事故により頭部に傷害を負い、意識障害があったのであれば、後に高次脳機能障害と診断されるかもしれないことを念頭に置くことが大事です。
意識障害の有無、程度については、医療機関の診療録または救急隊の救急記録を取り寄せ、確認することができます。
記録の保存期間は5年とされているため、保存期間の経過に注意する必要があります。
3 事故後の対応について
⑴ 専門の医療機関の受診
高次脳機能障害には専門的な知見が必要であり、これに対応できる医療機関は限られています。
このため、事故後の入院先が、高次脳機能障害に対応していない医療機関であった場合には、転院について検討する必要があります。
⑵ 被害者の異常な言動の記録
高次脳機能障害として認定されるための要素である上記⑶については、被害者と接する機会が限られている医療従事者よりも、被害者のご家族の方が、詳細に把握できることとと思われます。
このため、異常な言動が認められたら、その日時と言動について、継続的に記録しておくと、後遺障害として認定される際の大事な資料となります。
⑶ 治療期間における収入の確保
高次脳機能障害が後遺障害として認定されるまで、長期間の経過観察を要するのが一般的です。
その間の収入について、事故の相手方に保険会社がついているのであれば、休業損害の前払を請求するなどして対応することになります。
高次脳機能障害で弁護士をお探しの方へ むちうちで弁護士をお探しの方へ